己が身の罪を恥ぢて、このあたりへは影も見せなんだ『ろおれんぞ』が、今こそ一人子の命を救はうとて、火の中へはいつたぞよ」と、誰ともなく罵りかはしたのでござる。
これには翁さへ同心と覚えて、「ろおれんぞ」の姿を眺めてからは、怪しい心の騒ぎを隠さうず為か、立ちつ居つ身を悶えて、何やら愚しい事のみを、声高にひとりわめいて居つた。
なれど当の娘ばかりは、狂ほしく大地に跪いて、両の手で顔をうづめながら、一心不乱に祈誓を凝らいて、身動きをする気色さへもござない。
己が身の罪を恥ぢて、このあたりへは影も見せなんだ『ろおれんぞ』が、今こそ一人子の命を救はうとて、火の中へはいつたぞよ」と、誰ともなく罵りかはしたのでござる。
これには翁さへ同心と覚えて、「ろおれんぞ」の姿を眺めてからは、怪しい心の騒ぎを隠さうず為か、立ちつ居つ身を悶えて、何やら愚しい事のみを、声高にひとりわめいて居つた。
なれど当の娘ばかりは、狂ほしく大地に跪いて、両の手で顔をうづめながら、一心不乱に祈誓を凝らいて、身動きをする気色さへもござない。