娘が涙ををさめて、申し次いだは、「妾は日頃『ろおれんぞ』様を恋ひ慕うて居つたなれど、御信心の堅固さからあまりにつれなくもてなされる故、つい怨む心も出て、腹の子を『ろおれんぞ』様の種と申し偽り、妾につらかつた口惜しさを思ひ知らさうと致いたのでおぢやる。
なれど『ろおれんぞ』様のお心の気高さは、妾が大罪をも憎ませ給はいで、今宵は御身の危さをもうち忘れ、『いんへるの』(地獄)にもまがふ火焔の中から、妾娘の一命を辱くも救はせ給うた。
その御憐み、御計らひ、まことに御主『ぜす・きりしと』の再来かともをがまれ申す。