――わたしは咄嗟にこう思いましたから、庭に向いた障子を明けるが早いか、行燈の火を掲げて見ました。
雪の深い茶室の前には、大明竹の垂れ伏したあたりに、誰か二人掴み合っている――と思うとその一人は、飛びかかる相手を突き放したなり、庭木の陰をくぐるように、たちまち塀の方へ逃げ出しました。
雪のはだれる音、塀に攀じ登る音、――それぎりひっそりしてしまったのは、もうどこか塀の外へ、無事に落ち延びたのでございましょう。
――わたしは咄嗟にこう思いましたから、庭に向いた障子を明けるが早いか、行燈の火を掲げて見ました。
雪の深い茶室の前には、大明竹の垂れ伏したあたりに、誰か二人掴み合っている――と思うとその一人は、飛びかかる相手を突き放したなり、庭木の陰をくぐるように、たちまち塀の方へ逃げ出しました。
雪のはだれる音、塀に攀じ登る音、――それぎりひっそりしてしまったのは、もうどこか塀の外へ、無事に落ち延びたのでございましょう。