が、門司から船に乗れば、二昼夜経つか経たない内に、すぐもう上海へ着いてしまう。
高が二昼夜ばかりの航海に、船酔いの薬なぞを携帯するようじゃ、長野氏の臆病も知るべしである。
――こう思った私は、三月二十一日の午後、筑後丸の舷梯に登る時にも、雨風に浪立った港内を見ながら、再びわが長野草風画伯の海に怯なる事を気の毒に思った。
が、門司から船に乗れば、二昼夜経つか経たない内に、すぐもう上海へ着いてしまう。
高が二昼夜ばかりの航海に、船酔いの薬なぞを携帯するようじゃ、長野氏の臆病も知るべしである。
――こう思った私は、三月二十一日の午後、筑後丸の舷梯に登る時にも、雨風に浪立った港内を見ながら、再びわが長野草風画伯の海に怯なる事を気の毒に思った。