その向うに何処かの島の影が、ぼんやり浮んで来たと思ったら、それは九州の本土だった。
が、船に慣れている馬杉君は、巻煙草の煙を吐き出しながら、一向弱ったらしい気色も見せない。
私は外套の襟を立てて、ポケットへ両手を突っこんで、時々仁丹を口に含んで、――要するに長野草風氏が船酔いの薬を用意したのは、賢明な処置だと感服していた。
その向うに何処かの島の影が、ぼんやり浮んで来たと思ったら、それは九州の本土だった。
が、船に慣れている馬杉君は、巻煙草の煙を吐き出しながら、一向弱ったらしい気色も見せない。
私は外套の襟を立てて、ポケットへ両手を突っこんで、時々仁丹を口に含んで、――要するに長野草風氏が船酔いの薬を用意したのは、賢明な処置だと感服していた。