京調の芝居は上海以来、度たび覗いても見しものなれど、昆曲はまだ始めてなり。
例の如く人力車の御厄介になり、狭い町を幾つも通り抜けし後、やっと同楽茶園と言う劇場に至る。
紅に金文字のびらを貼れる、古き煉瓦造りの玄関をはいれば、――但し「玄関をはいれば」と言うも、切符などを買いし次第にあらず、元来支那の芝居なるものは唯ぶらりと玄関をはいり、戯を聴くこと幾分の後、金を集めに来る支那の出方に定額の入場料を払ってやるを常とす。
京調の芝居は上海以来、度たび覗いても見しものなれど、昆曲はまだ始めてなり。
例の如く人力車の御厄介になり、狭い町を幾つも通り抜けし後、やっと同楽茶園と言う劇場に至る。
紅に金文字のびらを貼れる、古き煉瓦造りの玄関をはいれば、――但し「玄関をはいれば」と言うも、切符などを買いし次第にあらず、元来支那の芝居なるものは唯ぶらりと玄関をはいり、戯を聴くこと幾分の後、金を集めに来る支那の出方に定額の入場料を払ってやるを常とす。