こつちから見ると、その士官と艦尾の軍艦旗とが、千人あまりの水兵の頭の上に、曇りながら夕燒けのした空を切りぬいて、墨を塗つたやうに黒く見えた。
下では皆が、鹽辛い聲をあげて、「煙も見えず雲もなく」とうたつてゐる。
僕はこの時も亦、その或る考へに襲はれた。
こつちから見ると、その士官と艦尾の軍艦旗とが、千人あまりの水兵の頭の上に、曇りながら夕燒けのした空を切りぬいて、墨を塗つたやうに黒く見えた。
下では皆が、鹽辛い聲をあげて、「煙も見えず雲もなく」とうたつてゐる。
僕はこの時も亦、その或る考へに襲はれた。