所が、平吉がお目見得をしてから二月ばかりするとそこのお上みさんがふとした出来心から店の若い者と一しょになって着のみ着のままでかけ落ちをしてしまった。
そこで、一家安穏のためにした信心が一向役にたたないと思ったせいか、法華気違いだった旦那が急に、門徒へ宗旨替をして、帝釈様のお掛地を川へ流すやら、七面様の御影を釜の下へ入れて焼くやら、大騒ぎをした事があるそうである。
それからまた、そこに廿までいる間に店の勘定をごまかして、遊びに行った事が度々あるが、その頃、馴染みになった女に、心中をしてくれと云われて弱った覚もある。