父は往来の左右を見ながら「昔はここいらは原ばかりだった」とか「何とか様の裏の田には鶴が下りたものだ」とか話していた。
しかしそれ等の話の中でも最も僕を動かしたものは「御維新」前には行き倒れとか首くくりとかの死骸を早桶に入れその又早桶を葭簀に包んだ上、白張りの提灯を一本立てて原の中に据えて置くという話だった。
僕は草原の中に立った白張りの提灯を想像し、何か気味の悪い美しさを感じた。
父は往来の左右を見ながら「昔はここいらは原ばかりだった」とか「何とか様の裏の田には鶴が下りたものだ」とか話していた。
しかしそれ等の話の中でも最も僕を動かしたものは「御維新」前には行き倒れとか首くくりとかの死骸を早桶に入れその又早桶を葭簀に包んだ上、白張りの提灯を一本立てて原の中に据えて置くという話だった。
僕は草原の中に立った白張りの提灯を想像し、何か気味の悪い美しさを感じた。