水干はそれでも、肩が少し落ちて、丸組の緒や菊綴の色が怪しくなつてゐるだけだが、指貫になると、裾のあたりのいたみ方が一通りでない。
その指貫の中から、下の袴もはかない、細い足が出てゐるのを見ると、口の悪い同僚でなくとも、痩公卿の車を牽いてゐる、痩牛の歩みを見るやうな、みすぼらしい心もちがする。
それに佩いてゐる太刀も、頗る覚束ない物で、柄の金具も如何はしければ、黒鞘の塗も剥げかかつてゐる。
水干はそれでも、肩が少し落ちて、丸組の緒や菊綴の色が怪しくなつてゐるだけだが、指貫になると、裾のあたりのいたみ方が一通りでない。
その指貫の中から、下の袴もはかない、細い足が出てゐるのを見ると、口の悪い同僚でなくとも、痩公卿の車を牽いてゐる、痩牛の歩みを見るやうな、みすぼらしい心もちがする。
それに佩いてゐる太刀も、頗る覚束ない物で、柄の金具も如何はしければ、黒鞘の塗も剥げかかつてゐる。