それに佩いてゐる太刀も、頗る覚束ない物で、柄の金具も如何はしければ、黒鞘の塗も剥げかかつてゐる。
これが例の赤鼻で、だらしなく草履をひきずりながら、唯でさへ猫背なのを、一層寒空の下に背ぐくまつて、もの欲しさうに、左右を眺め眺め、きざみ足に歩くのだから、通りがかりの物売りまで莫迦にするのも、無理はない。
現に、かう云ふ事さへあつた。
それに佩いてゐる太刀も、頗る覚束ない物で、柄の金具も如何はしければ、黒鞘の塗も剥げかかつてゐる。
これが例の赤鼻で、だらしなく草履をひきずりながら、唯でさへ猫背なのを、一層寒空の下に背ぐくまつて、もの欲しさうに、左右を眺め眺め、きざみ足に歩くのだから、通りがかりの物売りまで莫迦にするのも、無理はない。
現に、かう云ふ事さへあつた。