利仁は、微笑を含みながら、わざと、五位の顔を見ないやうにして、静に馬を歩ませてゐる。
両側の人家は、次第に稀になつて、今は、広々とした冬田の上に、餌をあさる鴉が見えるばかり、山の陰に消残つて、雪の色も仄に青く煙つてゐる。
晴れながら、とげとげしい櫨の梢が、眼に痛く空を刺してゐるのさへ、何となく肌寒い。
利仁は、微笑を含みながら、わざと、五位の顔を見ないやうにして、静に馬を歩ませてゐる。
両側の人家は、次第に稀になつて、今は、広々とした冬田の上に、餌をあさる鴉が見えるばかり、山の陰に消残つて、雪の色も仄に青く煙つてゐる。
晴れながら、とげとげしい櫨の梢が、眼に痛く空を刺してゐるのさへ、何となく肌寒い。