その涯には、一帯の山脈が、日に背いてゐるせゐか、かがやく可き残雪の光もなく、紫がかつた暗い色を、長々となすつてゐるが、それさへ蕭条たる幾叢の枯薄に遮られて、二人の従者の眼には、はいらない事が多い。
――すると、利仁が、突然、五位の方をふりむいて、声をかけた。
「あれに、よい使者が参つた。
その涯には、一帯の山脈が、日に背いてゐるせゐか、かがやく可き残雪の光もなく、紫がかつた暗い色を、長々となすつてゐるが、それさへ蕭条たる幾叢の枯薄に遮られて、二人の従者の眼には、はいらない事が多い。
――すると、利仁が、突然、五位の方をふりむいて、声をかけた。
「あれに、よい使者が参つた。