読者は、今後、赤鼻の五位の態度に、幇間のやうな何物かを見出しても、それだけで妄にこの男の人格を、疑ふ可きではない。
抛り出された狐は、なぞへの斜面を、転げるやうにして、駈け下りると、水の無い河床の石の間を、器用に、ぴよいぴよい、飛び越えて、今度は、向うの斜面へ、勢よく、すぢかひに駈け上つた。
駈け上りながら、ふりかへつて見ると、自分を手捕りにした侍の一行は、まだ遠い傾斜の上に馬を並べて立つてゐる。
読者は、今後、赤鼻の五位の態度に、幇間のやうな何物かを見出しても、それだけで妄にこの男の人格を、疑ふ可きではない。
抛り出された狐は、なぞへの斜面を、転げるやうにして、駈け下りると、水の無い河床の石の間を、器用に、ぴよいぴよい、飛び越えて、今度は、向うの斜面へ、勢よく、すぢかひに駈け上つた。
駈け上りながら、ふりかへつて見ると、自分を手捕りにした侍の一行は、まだ遠い傾斜の上に馬を並べて立つてゐる。