その日の夜の事である。
五位は、利仁の館の一間に、切燈台の灯を眺めるともなく、眺めながら、寝つかれない長の夜をまぢまぢして、明してゐた。
すると、夕方、此処へ着くまでに、利仁や利仁の従者と、談笑しながら、越えて来た松山、小川、枯野、或は、草、木の葉、石、野火の煙のにほひ、――さう云ふものが、一つづつ、五位の心に、浮んで来た。
その日の夜の事である。
五位は、利仁の館の一間に、切燈台の灯を眺めるともなく、眺めながら、寝つかれない長の夜をまぢまぢして、明してゐた。
すると、夕方、此処へ着くまでに、利仁や利仁の従者と、談笑しながら、越えて来た松山、小川、枯野、或は、草、木の葉、石、野火の煙のにほひ、――さう云ふものが、一つづつ、五位の心に、浮んで来た。