殊に、雀色時の靄の中を、やつと、この館へ辿りついて、長櫃に起してある、炭火の赤い焔を見た時の、ほつとした心もち、――それも、今かうして、寝てゐると、遠い昔にあつた事としか、思はれない。
五位は綿の四五寸もはいつた、黄いろい直垂の下に、楽々と、足をのばしながら、ぼんやり、われとわが寝姿を見廻した。
直垂の下に利仁が貸してくれた、練色の衣の綿厚なのを、二枚まで重ねて、着こんでゐる。
殊に、雀色時の靄の中を、やつと、この館へ辿りついて、長櫃に起してある、炭火の赤い焔を見た時の、ほつとした心もち、――それも、今かうして、寝てゐると、遠い昔にあつた事としか、思はれない。
五位は綿の四五寸もはいつた、黄いろい直垂の下に、楽々と、足をのばしながら、ぼんやり、われとわが寝姿を見廻した。
直垂の下に利仁が貸してくれた、練色の衣の綿厚なのを、二枚まで重ねて、着こんでゐる。