尤も御所持の御什器のうちには贋物も数かず有之、この「かなりや」ほど確かなる品は一つも御所持御座なく候。
その節父の申し候は、涼風の立ち次第秀林院様へお暇を願ひ、嫁入り致させ候べしとのことに御座候。
わたくしももはや三年あまり、御奉公致し居り候へども、秀林院様は少しもお優しきところ無之、賢女ぶらるることを第一となされ候へば、お側に居り候ても、浮きたる話などは相成らず、兎角気のつまるばかりに候間、父の言葉を聞きし時は天へも昇る心地致し候。
尤も御所持の御什器のうちには贋物も数かず有之、この「かなりや」ほど確かなる品は一つも御所持御座なく候。
その節父の申し候は、涼風の立ち次第秀林院様へお暇を願ひ、嫁入り致させ候べしとのことに御座候。
わたくしももはや三年あまり、御奉公致し居り候へども、秀林院様は少しもお優しきところ無之、賢女ぶらるることを第一となされ候へば、お側に居り候ても、浮きたる話などは相成らず、兎角気のつまるばかりに候間、父の言葉を聞きし時は天へも昇る心地致し候。