やれやれお取次御苦労な」とのことに御座候。
尤もこれは珍しきことにても無之、いつも世上の噂などはお留守居役の耳よりも、わたくしどもの耳へ先に入り候、少斎は唯律義なる老人、石見は武道一偏のわやく人に候間、さもあるべき儀とは存じ候へども、兎角たび重なり候へば、わたくしどもを始め奥のものは「世上に隠れない」と申す代りに「お留守居役さへ知つておりやる」と申すことに相成り居り候。
七、霜は即ちその旨を秀林院様へ申し上げ候ところ、秀林院様の御意なされ候は、治部少と三斎様とは兼ねがねおん仲悪しく候まま、定めし人質のとりはじめにはこの方へ参るならん、万一さもなき節は他家の並もあるべきか、もし又一番に申し来り候はば、御返答如何遊ばされ候べきや。