その節も亦秀林院様は孔子とやら、「えそぽ」とやら、橘姫とやら、「きりすと」とやら、和漢はもとより南蛮国の物語さへも仰せ聞かされ、さすがの澄見も御能弁にはしみじみ恐れ入りしやうに見うけ候。
十二、この日の大凶時、霜は御庭前の松の梢へ金色の十字架の天下るさまを夢のやうに眺め候よし、如何なる凶事の前兆にやと悲しげにわたくしへ話し申し候。
尤も霜は近眼の上、日頃みなみなになぶらるる臆病者に御座候間、明星を十字架とも見違へ候や、覚束なき限りと存じ候。
その節も亦秀林院様は孔子とやら、「えそぽ」とやら、橘姫とやら、「きりすと」とやら、和漢はもとより南蛮国の物語さへも仰せ聞かされ、さすがの澄見も御能弁にはしみじみ恐れ入りしやうに見うけ候。
十二、この日の大凶時、霜は御庭前の松の梢へ金色の十字架の天下るさまを夢のやうに眺め候よし、如何なる凶事の前兆にやと悲しげにわたくしへ話し申し候。
尤も霜は近眼の上、日頃みなみなになぶらるる臆病者に御座候間、明星を十字架とも見違へ候や、覚束なき限りと存じ候。