いつぞや大殿様が、二条大宮の百鬼夜行に御遇いになっても、格別御障りのなかった事が、洛中洛外の大評判になりますと、若殿様は私に御向いになりまして、「鬼神が鬼神に遇うたのじゃ。
父上の御身に害がなかったのは、不思議もない。
と、さも可笑しそうに仰有いましたが、その後また、東三条の河原院で、夜な夜な現れる融の左大臣の亡霊を、大殿様が一喝して御卻けになった時も、若殿様は例の通り、唇を歪めて御笑いになりながら、
いつぞや大殿様が、二条大宮の百鬼夜行に御遇いになっても、格別御障りのなかった事が、洛中洛外の大評判になりますと、若殿様は私に御向いになりまして、「鬼神が鬼神に遇うたのじゃ。
父上の御身に害がなかったのは、不思議もない。
と、さも可笑しそうに仰有いましたが、その後また、東三条の河原院で、夜な夜な現れる融の左大臣の亡霊を、大殿様が一喝して御卻けになった時も、若殿様は例の通り、唇を歪めて御笑いになりながら、