現に内裡の梅見の宴からの御帰りに、大殿様の御車の牛がそれて、往来の老人に怪我させた時、その老人が反って手を合せて、権者のような大殿様の御牛にかけられた冥加のほどを、難有がった事がございましたが、その時も若殿様は、大殿様のいらっしゃる前で、牛飼いの童子に御向いなさりながら、「その方はうつけものじゃな。
所詮牛をそらすくらいならば、なぜ車の輪にかけて、あの下司を轢き殺さぬ。
怪我をしてさえ、手を合せて、随喜するほどの老爺じゃ。
現に内裡の梅見の宴からの御帰りに、大殿様の御車の牛がそれて、往来の老人に怪我させた時、その老人が反って手を合せて、権者のような大殿様の御牛にかけられた冥加のほどを、難有がった事がございましたが、その時も若殿様は、大殿様のいらっしゃる前で、牛飼いの童子に御向いなさりながら、「その方はうつけものじゃな。
所詮牛をそらすくらいならば、なぜ車の輪にかけて、あの下司を轢き殺さぬ。
怪我をしてさえ、手を合せて、随喜するほどの老爺じゃ。