この方などは若殿様とも、詩文の御交りの深かった御一人で、御消息などをなさる時は、若殿様を楽天に、御自分を東坡に比していらしったそうでございますが、そう云う風流第一の才子が、如何に中御門の御姫様は御美しいのに致しましても、一旦の御歎きから御生涯を辺土に御送りなさいますのは、御不覚と申し上げるよりほかはございますまい。
が、また飜って考えますと、これも御無理がないと思われるくらい、中御門の御姫様と仰有る方は、御美しかったのでございます。
私が一両度御見かけ申しました限でも、柳桜をまぜて召して、錦に玉を貫いた燦びやかな裳の腰を、大殿油の明い光に、御輝かせになりながら、御眶も重そうにうち傾いていらしった、あのあでやかな御姿は一生忘れようもございますまい。