所がこの方は御利巧だと同時に、気の小さい御性質だったと見えまして、いかに御姫様を懐しく思召しても、御自分の方からそれとは御打ち明けなすった事もございませんし、元よりまた御同輩の方にも、ついぞそれらしい事を口に出して、仰有った例はございません。
しかし忍び忍びに御姫様の御顔を拝みに参ります事は、隠れない事でございますから、ある時、それを枷にして、御同輩の誰彼が、手を換え品を換え、いろいろと問い落そうと御かかりになりました。
すると鴉の左大弁様は、苦しまぎれの御一策に、
所がこの方は御利巧だと同時に、気の小さい御性質だったと見えまして、いかに御姫様を懐しく思召しても、御自分の方からそれとは御打ち明けなすった事もございませんし、元よりまた御同輩の方にも、ついぞそれらしい事を口に出して、仰有った例はございません。
しかし忍び忍びに御姫様の御顔を拝みに参ります事は、隠れない事でございますから、ある時、それを枷にして、御同輩の誰彼が、手を換え品を換え、いろいろと問い落そうと御かかりになりました。
すると鴉の左大弁様は、苦しまぎれの御一策に、