それがほど経てから、御門の扉が、やっと開いたと思いますと、平太夫と申します私くらいの老侍が、これも同じような藤の枝に御文を結んだのを渡したなり、無言でまた、その扉をぴたりと閉めてしまいました。
そこで泣く泣く御立ち帰りになって、その御文を開けて御覧になると、一首の古歌がちらし書きにしてあるだけで、一言もほかには御便りがございません。
思へども思はずとのみ云ふなればいなや思はじ思ふかひなし
それがほど経てから、御門の扉が、やっと開いたと思いますと、平太夫と申します私くらいの老侍が、これも同じような藤の枝に御文を結んだのを渡したなり、無言でまた、その扉をぴたりと閉めてしまいました。
そこで泣く泣く御立ち帰りになって、その御文を開けて御覧になると、一首の古歌がちらし書きにしてあるだけで、一言もほかには御便りがございません。
思へども思はずとのみ云ふなればいなや思はじ思ふかひなし