中にはまた、震旦でも本朝でもない、天竺の涯から来た法師で、昼こそあのように町を歩いているが、夜は墨染の法衣が翼になって、八阪寺の塔の空へ舞上るなどと云う噂もございましたが、元よりそれはとりとめもない、嘘だったのでございましょう。
が、さような噂が伝わりましたのも、一応はもっともかと存じられますくらい、この摩利信乃法師の仕業には、いろいろ幻妙な事が多かったのでございます。
十二
中にはまた、震旦でも本朝でもない、天竺の涯から来た法師で、昼こそあのように町を歩いているが、夜は墨染の法衣が翼になって、八阪寺の塔の空へ舞上るなどと云う噂もございましたが、元よりそれはとりとめもない、嘘だったのでございましょう。
が、さような噂が伝わりましたのも、一応はもっともかと存じられますくらい、この摩利信乃法師の仕業には、いろいろ幻妙な事が多かったのでございます。
十二