「おう、しかとこの殿じゃ。
と、憎々しげに答えました。
するとその声が、また何となくどこかで一度、御耳になすったようでございましたから、愈怪しく思召して、明るい月の光に、その声の主を、きっと御覧になりますと、面こそ包んで居りますが、あの中御門の御姫様に年久しく御仕え申している、平太夫に相違はございません。
「おう、しかとこの殿じゃ。
と、憎々しげに答えました。
するとその声が、また何となくどこかで一度、御耳になすったようでございましたから、愈怪しく思召して、明るい月の光に、その声の主を、きっと御覧になりますと、面こそ包んで居りますが、あの中御門の御姫様に年久しく御仕え申している、平太夫に相違はございません。