さて若殿様は平太夫を御屋形へつれて御帰りになりますと、そのまま、御厩の柱にくくりつけて、雑色たちに見張りを御云いつけなさいましたが、翌朝は匇々あの老爺を、朝曇りの御庭先へ御召しになって、
「こりゃ平太夫、その方が少納言殿の御恨を晴そうと致す心がけは、成程愚には相違ないが、さればとてまた、神妙とも申されぬ事はない。
殊にあの月夜に、覆面の者どもを駆り催して、予を殺害致そうと云う趣向のほどは、中々その方づれとも思われぬ風流さじゃ。
さて若殿様は平太夫を御屋形へつれて御帰りになりますと、そのまま、御厩の柱にくくりつけて、雑色たちに見張りを御云いつけなさいましたが、翌朝は匇々あの老爺を、朝曇りの御庭先へ御召しになって、
「こりゃ平太夫、その方が少納言殿の御恨を晴そうと致す心がけは、成程愚には相違ないが、さればとてまた、神妙とも申されぬ事はない。
殊にあの月夜に、覆面の者どもを駆り催して、予を殺害致そうと云う趣向のほどは、中々その方づれとも思われぬ風流さじゃ。