この調子ならまず何事もなかろうと、一時は私の甥も途中から引き返そうと致しましたが、よもやに引かされて、しばらくは猶も跡を慕って参りますと、丁度油小路へ出ようと云う、道祖の神の祠の前で、折からあの辻をこちらへ曲って出た、見慣れない一人の沙門が、出合いがしらに平太夫と危くつき当りそうになりました。
女菩薩の幢、墨染の法衣、それから十文字の怪しい護符、一目見て私の甥は、それが例の摩利信乃法師だと申す事に、気がついたそうでございます。
十七
この調子ならまず何事もなかろうと、一時は私の甥も途中から引き返そうと致しましたが、よもやに引かされて、しばらくは猶も跡を慕って参りますと、丁度油小路へ出ようと云う、道祖の神の祠の前で、折からあの辻をこちらへ曲って出た、見慣れない一人の沙門が、出合いがしらに平太夫と危くつき当りそうになりました。
女菩薩の幢、墨染の法衣、それから十文字の怪しい護符、一目見て私の甥は、それが例の摩利信乃法師だと申す事に、気がついたそうでございます。
十七