が、その内に私の甥の足音に驚かされたのでございましょう。
摩利信乃法師は夢のさめたように、慌しくこちらを振り向きますと、急に片手を高く挙げて、怪しい九字を切りながら、何か咒文のようなものを口の内に繰返して、匀々歩きはじめました。
その時の咒文の中に、中御門と云うような語が聞えたと申しますが、それは事によると私の甥の耳のせいだったかもわかりません。
が、その内に私の甥の足音に驚かされたのでございましょう。
摩利信乃法師は夢のさめたように、慌しくこちらを振り向きますと、急に片手を高く挙げて、怪しい九字を切りながら、何か咒文のようなものを口の内に繰返して、匀々歩きはじめました。
その時の咒文の中に、中御門と云うような語が聞えたと申しますが、それは事によると私の甥の耳のせいだったかもわかりません。