ほど経て平太夫が、心配そうに、こう相手の言を促しますと、摩利信乃法師はふと我に返ったように、また元の静な声で、一言毎に間を置きながら、
「いや、何もあったと申すほどの仔細はない。
が、予は昨夜もあの菰だれの中で、独りうとうとと眠って居ると、柳の五つ衣を着た姫君の姿が、夢に予の枕もとへ歩みよられた。
ほど経て平太夫が、心配そうに、こう相手の言を促しますと、摩利信乃法師はふと我に返ったように、また元の静な声で、一言毎に間を置きながら、
「いや、何もあったと申すほどの仔細はない。
が、予は昨夜もあの菰だれの中で、独りうとうとと眠って居ると、柳の五つ衣を着た姫君の姿が、夢に予の枕もとへ歩みよられた。