摩利信乃法師がこう語り終りますと、今度は平太夫も口を噤んで、一しきりやめていた扇をまたも使い出しました。
私の甥はその間中鉤にかかった鮠も忘れるくらい、聞き耳を立てて居りましたが、この夢の話を聞いている中は、橋の下の涼しさが、何となく肌身にしみて、そう云う御姫様の悲しい御姿を、自分もいつか朧げに見た事があるような、不思議な気が致したそうでございます。
その内に橋の上では、また摩利信乃法師の沈んだ声がして、
摩利信乃法師がこう語り終りますと、今度は平太夫も口を噤んで、一しきりやめていた扇をまたも使い出しました。
私の甥はその間中鉤にかかった鮠も忘れるくらい、聞き耳を立てて居りましたが、この夢の話を聞いている中は、橋の下の涼しさが、何となく肌身にしみて、そう云う御姫様の悲しい御姿を、自分もいつか朧げに見た事があるような、不思議な気が致したそうでございます。
その内に橋の上では、また摩利信乃法師の沈んだ声がして、