それでもなお、平太夫はしばらくためらっていたようでございますが、やがて扇をつぼめたと思うと、それで欄干を丁と打ちながら、
「よろしゅうございます。
この平太夫はいつぞや清水の阪の下で、辻冠者ばらと刃傷を致しました時、すんでに命も取られる所を、あなた様の御かげによって、落ち延びる事が出来ました。
それでもなお、平太夫はしばらくためらっていたようでございますが、やがて扇をつぼめたと思うと、それで欄干を丁と打ちながら、
「よろしゅうございます。
この平太夫はいつぞや清水の阪の下で、辻冠者ばらと刃傷を致しました時、すんでに命も取られる所を、あなた様の御かげによって、落ち延びる事が出来ました。