私の甥はその話を終ってから、一段と声をひそめますと、
「一体あの摩利信乃法師と云う男が、どうして姫君を知って居るのだか、それは元より私にも不思議と申すほかはありませんが、とにかくあの沙門が姫君の御意を得るような事でもあると、どうもこの御屋形の殿様の御身の上には、思いもよらない凶変でも起りそうな不吉な気がするのです。
が、このような事は殿様に申上げても、あの通りの御気象ですから、決して御取り上げにはならないのに相違ありません。
私の甥はその話を終ってから、一段と声をひそめますと、
「一体あの摩利信乃法師と云う男が、どうして姫君を知って居るのだか、それは元より私にも不思議と申すほかはありませんが、とにかくあの沙門が姫君の御意を得るような事でもあると、どうもこの御屋形の殿様の御身の上には、思いもよらない凶変でも起りそうな不吉な気がするのです。
が、このような事は殿様に申上げても、あの通りの御気象ですから、決して御取り上げにはならないのに相違ありません。