ある星月夜の事でございましたが、私は甥と一しょに更闌けてから四条河原へそっと忍んで参りました。
その時でさえまだ私には、あの天狗法師を殺そうと云う心算もなし、また殺す方がよいと云う気もあった訳ではございません。
が、どうしても甥が初の目ろみを捨てないのと、甥を一人やる事がなぜか妙に気がかりだったのとで、とうとう私までが年甲斐もなく、河原蓬の露に濡れながら、摩利信乃法師の住む小屋を目がけて、窺いよることになったのでございます。
ある星月夜の事でございましたが、私は甥と一しょに更闌けてから四条河原へそっと忍んで参りました。
その時でさえまだ私には、あの天狗法師を殺そうと云う心算もなし、また殺す方がよいと云う気もあった訳ではございません。
が、どうしても甥が初の目ろみを捨てないのと、甥を一人やる事がなぜか妙に気がかりだったのとで、とうとう私までが年甲斐もなく、河原蓬の露に濡れながら、摩利信乃法師の住む小屋を目がけて、窺いよることになったのでございます。