が、どうしても甥が初の目ろみを捨てないのと、甥を一人やる事がなぜか妙に気がかりだったのとで、とうとう私までが年甲斐もなく、河原蓬の露に濡れながら、摩利信乃法師の住む小屋を目がけて、窺いよることになったのでございます。
御承知の通りあの河原には、見苦しい非人小屋が、何軒となく立ち並んで居りますが、今はもうここに多い白癩の乞食たちも、私などが思いもつかない、怪しげな夢をむすびながら、ぐっすり睡入って居るのでございましょう。
私と甥とが足音を偸み偸み、静にその小屋の前を通りぬけました時も、蓆壁の後にはただ、高鼾の声が聞えるばかり、どこもかしこもひっそりと静まり返って、たった一所焚き残してある芥火さえ、風もないのか夜空へ白く、まっすぐな煙をあげて居ります。