その中に私の甥は、兼ねて目星をつけて置いたのでございましょう、加茂川の細い流れに臨んでいる、菰だれの小屋の一つを指さしますと、河原蓬の中に立ったまま、私の方をふり向きまして、「あれです。
と、一言申しました。
折からあの焚き捨てた芥火が、まだ焔の舌を吐いているそのかすかな光に透かして見ますと、小屋はどれよりも小さいくらいで、竹の柱も古蓆の屋根も隣近所と変りはございませんが、それでもその屋根の上には、木の枝を組んだ十文字の標が、夜目にもいかめしく立って居ります。
その中に私の甥は、兼ねて目星をつけて置いたのでございましょう、加茂川の細い流れに臨んでいる、菰だれの小屋の一つを指さしますと、河原蓬の中に立ったまま、私の方をふり向きまして、「あれです。
と、一言申しました。
折からあの焚き捨てた芥火が、まだ焔の舌を吐いているそのかすかな光に透かして見ますと、小屋はどれよりも小さいくらいで、竹の柱も古蓆の屋根も隣近所と変りはございませんが、それでもその屋根の上には、木の枝を組んだ十文字の標が、夜目にもいかめしく立って居ります。