すると甥は早くも身仕度を整えたものと見えて、太刀の目釘を叮嚀に潤しますと、まるで私には目もくれず、そっと河原を踏み分けながら、餌食を覗う蜘蛛のように、音もなく小屋の外へ忍びよりました。
いや全く芥火の朧げな光のさした、蓆壁にぴったり体をよせて、内のけはいを窺っている私の甥の後姿は、何となく大きな蜘蛛のような気味の悪いものに見えたのでございます。
二十六
すると甥は早くも身仕度を整えたものと見えて、太刀の目釘を叮嚀に潤しますと、まるで私には目もくれず、そっと河原を踏み分けながら、餌食を覗う蜘蛛のように、音もなく小屋の外へ忍びよりました。
いや全く芥火の朧げな光のさした、蓆壁にぴったり体をよせて、内のけはいを窺っている私の甥の後姿は、何となく大きな蜘蛛のような気味の悪いものに見えたのでございます。
二十六