幸い、堀川の若殿様に御仕え申している事なぞは、気のつかないように見えましたから、あの薄色の袿にも、なるべく眼をやらないようにして、河原の砂の上に坐ったまま、わざと神妙にあの沙門の申す事を聴いて居るらしく装いました。
するとそれが先方には、いかにも殊勝げに見えたのでございましょう。
一通り談義めいた事を説いて聴かせますと、摩利信乃法師は顔色を和げながら、あの十文字の護符を私どもの上にさしかざして、
幸い、堀川の若殿様に御仕え申している事なぞは、気のつかないように見えましたから、あの薄色の袿にも、なるべく眼をやらないようにして、河原の砂の上に坐ったまま、わざと神妙にあの沙門の申す事を聴いて居るらしく装いました。
するとそれが先方には、いかにも殊勝げに見えたのでございましょう。
一通り談義めいた事を説いて聴かせますと、摩利信乃法師は顔色を和げながら、あの十文字の護符を私どもの上にさしかざして、