その時の私の心もちと申しましたら、嬉しいとも、悲しいとも、乃至はまた残念だとも、何ともお話しの致しようがございません。
でございますから河原が遠くなって、ただ、あの芥火の赤く揺めくまわりに、白癩どもが蟻のように集って、何やら怪しげな歌を唄って居りますのが、かすかに耳へはいりました時も、私どもは互の顔さえ見ずに、黙って吐息ばかりつきながら、歩いて行ったものでございます。
二十九
その時の私の心もちと申しましたら、嬉しいとも、悲しいとも、乃至はまた残念だとも、何ともお話しの致しようがございません。
でございますから河原が遠くなって、ただ、あの芥火の赤く揺めくまわりに、白癩どもが蟻のように集って、何やら怪しげな歌を唄って居りますのが、かすかに耳へはいりました時も、私どもは互の顔さえ見ずに、黙って吐息ばかりつきながら、歩いて行ったものでございます。
二十九