二十九
それ以来私どもは、よるとさわると、額を鳩めて、摩利信乃法師と中御門の姫君とのいきさつを互に推量し合いながら、どうかしてあの天狗法師を遠ざけたいと、いろいろ評議を致しましたが、さて例の恐ろしい幻の事を思い出しますと、容易に名案も浮びません。
もっとも甥の方は私より若いだけに、まだ執念深く初一念を捨てないで、場合によったら平太夫のしたように、辻冠者どもでも駆り集めたら、もう一度四条河原の小屋を劫そうくらいな考えがあるようでございました。
二十九
それ以来私どもは、よるとさわると、額を鳩めて、摩利信乃法師と中御門の姫君とのいきさつを互に推量し合いながら、どうかしてあの天狗法師を遠ざけたいと、いろいろ評議を致しましたが、さて例の恐ろしい幻の事を思い出しますと、容易に名案も浮びません。
もっとも甥の方は私より若いだけに、まだ執念深く初一念を捨てないで、場合によったら平太夫のしたように、辻冠者どもでも駆り集めたら、もう一度四条河原の小屋を劫そうくらいな考えがあるようでございました。