またどこからともなく風のようなざわめきが、御簾を動かすばかり起りましたが、その声のまだ終らない中に、印を結び直した横川の僧都が、徐に肉の余った顎を動かして、秘密の呪文を誦しますと、たちまちその雲気の中に、朦朧とした二尊の金甲神が、勇ましく金剛杵をふりかざしながら、影のような姿を現しました。
これもあると思えばあり、ないと思えばないような幻ではございます。
が、その宙を踏んで飛舞する容子は、今しも摩利信乃法師の脳上へ、一杵を加えるかと思うほど、神威を帯びて居ったのでございます。
またどこからともなく風のようなざわめきが、御簾を動かすばかり起りましたが、その声のまだ終らない中に、印を結び直した横川の僧都が、徐に肉の余った顎を動かして、秘密の呪文を誦しますと、たちまちその雲気の中に、朦朧とした二尊の金甲神が、勇ましく金剛杵をふりかざしながら、影のような姿を現しました。
これもあると思えばあり、ないと思えばないような幻ではございます。
が、その宙を踏んで飛舞する容子は、今しも摩利信乃法師の脳上へ、一杵を加えるかと思うほど、神威を帯びて居ったのでございます。