それが大殿様の御邸へ参ります時には、よく丁字染の狩衣に揉烏帽子をかけて居りましたが、人がらは至つて卑しい方で、何故か年よりらしくもなく、唇の目立つて赤いのが、その上に又気味の悪い、如何にも獣めいた心もちを起させたものでございます。
中にはあれは画筆を舐めるので紅がつくのだなどゝ申した人も居りましたが、どう云ふものでございませうか。
尤もそれより口の悪い誰彼は、良秀の立居振舞が猿のやうだとか申しまして、猿秀と云ふ諢名までつけた事がございました。
それが大殿様の御邸へ参ります時には、よく丁字染の狩衣に揉烏帽子をかけて居りましたが、人がらは至つて卑しい方で、何故か年よりらしくもなく、唇の目立つて赤いのが、その上に又気味の悪い、如何にも獣めいた心もちを起させたものでございます。
中にはあれは画筆を舐めるので紅がつくのだなどゝ申した人も居りましたが、どう云ふものでございませうか。
尤もそれより口の悪い誰彼は、良秀の立居振舞が猿のやうだとか申しまして、猿秀と云ふ諢名までつけた事がございました。