或時娘の風邪の心地で、床に就きました時なども、小猿はちやんとその枕もとに坐りこんで、気のせゐか心細さうな顔をしながら、頻に爪を噛んで居りました。
かうなると又妙なもので、誰も今までのやうにこの小猿を、いぢめるものはございません。
いや、反つてだん/\可愛がり始めて、しまひには若殿様でさへ、時々柿や栗を投げて御やりになつたばかりか、侍の誰やらがこの猿を足蹴にした時なぞは、大層御立腹にもなつたさうでございます。
或時娘の風邪の心地で、床に就きました時なども、小猿はちやんとその枕もとに坐りこんで、気のせゐか心細さうな顔をしながら、頻に爪を噛んで居りました。
かうなると又妙なもので、誰も今までのやうにこの小猿を、いぢめるものはございません。
いや、反つてだん/\可愛がり始めて、しまひには若殿様でさへ、時々柿や栗を投げて御やりになつたばかりか、侍の誰やらがこの猿を足蹴にした時なぞは、大層御立腹にもなつたさうでございます。