今になつて考へて見ますと、大殿様の良秀を御覧になる眼は、その都度にだんだんと冷やかになつていらしつたやうでございます。
すると又、それにつけても、娘の方は父親の身が案じられるせゐでゞもございますか、曹司へ下つてゐる時などは、よく袿の袖を噛んで、しく/\泣いて居りました。
そこで大殿様が良秀の娘に懸想なすつたなどと申す噂が、愈々拡がるやうになつたのでございませう。
今になつて考へて見ますと、大殿様の良秀を御覧になる眼は、その都度にだんだんと冷やかになつていらしつたやうでございます。
すると又、それにつけても、娘の方は父親の身が案じられるせゐでゞもございますか、曹司へ下つてゐる時などは、よく袿の袖を噛んで、しく/\泣いて居りました。
そこで大殿様が良秀の娘に懸想なすつたなどと申す噂が、愈々拡がるやうになつたのでございませう。