その外或は鉄の笞に打たれるもの、或は千曳の磐石に押されるもの、或は怪鳥の嘴にかけられるもの、或は又毒龍の顎に噛まれるもの――、呵責も亦罪人の数に応じて、幾通りあるかわかりません。
が、その中でも殊に一つ目立つて凄じく見えるのは、まるで獣の牙のやうな刀樹の頂きを半ばかすめて(その刀樹の梢にも、多くの亡者が纍々と、五体を貫かれて居りましたが)中空から落ちて来る一輛の牛車でございませう。
地獄の風に吹き上げられた、その車の簾の中には、女御、更衣にもまがふばかり、綺羅びやかに装つた女房が、丈の黒髪を炎の中になびかせて、白い頸を反らせながら、悶え苦しんで居りますが、その女房の姿と申し、又燃えしきつてゐる牛車と申し、何一つとして炎熱地獄の責苦を偲ばせないものはございません。