元来この弟子は画筆などを握るよりも、太刀でも持つた方が好ささうな、逞しい若者でございましたが、これには流石に驚いたと見えて、後々までもその時の話を致しますと、「これは師匠が気が違つて、私を殺すのではないかと思ひました」と繰返して申したさうでございます。
が、良秀の方では、相手の愚図々々してゐるのが、燥つたくなつて参つたのでございませう。
どこから出したか、細い鉄の鎖をざら/\と手繰りながら、殆ど飛びつくやうな勢ひで、弟子の背中へ乗りかかりますと、否応なしにその儘両腕を捻ぢあげて、ぐる/\巻きに致してしまひました。