そこで弟子は、机の上のその異様な鳥も、やはり地獄変の屏風を描くのに入用なのに違ひないと、かう独り考へながら、師匠の前へ畏まつて、「何か御用でございますか」と、恭々しく申しますと、良秀はまるでそれが聞えないやうに、あの赤い唇へ舌なめずりをして、
「どうだ。
よく馴れてゐるではないか。
そこで弟子は、机の上のその異様な鳥も、やはり地獄変の屏風を描くのに入用なのに違ひないと、かう独り考へながら、師匠の前へ畏まつて、「何か御用でございますか」と、恭々しく申しますと、良秀はまるでそれが聞えないやうに、あの赤い唇へ舌なめずりをして、
「どうだ。
よく馴れてゐるではないか。