でございますから、弟子は、師匠の容子を一目見るが早いか、思はず両袖に頭を隠しながら、自分にも何と云つたかわからないやうな悲鳴をあげて、その儘部屋の隅の遣戸の裾へ、居すくまつてしまひました。
とその拍子に、良秀も何やら慌てたやうな声をあげて、立上つた気色でございましたが、忽ち耳木兎の羽音が一層前よりもはげしくなつて、物の倒れる音や破れる音が、けたゝましく聞えるではございませんか。
これには弟子も二度、度を失つて、思はず隠してゐた頭を上げて見ますと、部屋の中は何時かまつ暗になつてゐて、師匠の弟子たちを呼び立てる声が、その中で苛立しさうにして居ります。