良秀はさもさももどかしさうに、二三度私の足のまはりを駈けまはつたと思ひますと、まるで咽を絞められたやうな声で啼きながら、いきなり私の肩のあたりへ一足飛に飛び上りました。
私は思はず頸を反らせて、その爪にかけられまいとする、猿は又水干の袖にかじりついて、私の体から辷り落ちまいとする、――その拍子に、私はわれ知らず二足三足よろめいて、その遣り戸へ後ざまに、したゝか私の体を打ちつけました。
かうなつてはもう一刻も躊躇してゐる場合ではございません。
良秀はさもさももどかしさうに、二三度私の足のまはりを駈けまはつたと思ひますと、まるで咽を絞められたやうな声で啼きながら、いきなり私の肩のあたりへ一足飛に飛び上りました。
私は思はず頸を反らせて、その爪にかけられまいとする、猿は又水干の袖にかじりついて、私の体から辷り落ちまいとする、――その拍子に、私はわれ知らず二足三足よろめいて、その遣り戸へ後ざまに、したゝか私の体を打ちつけました。
かうなつてはもう一刻も躊躇してゐる場合ではございません。