芥川龍之介 『十円札』 あとにはまた力のない、どこかかすかに汗ばんだ沈黙ばかり残っている。 保吉はニッケルの時計を出し、そのニッケルの蓋の上に映った彼自身の顔へ目を注いだ。 いつも平常心を失ったなと思うと、厭でも鏡中の彼自身を見るのは十年来の彼の習慣である。 芥川龍之介の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア